クリアアライナーに関して、治療の進路を守ることが難しい場合があります。
クリアアライナー治療に影響を及ぼし、医師が意図した治療の計画をアライナーがたどるのを妨げる可能性のある、数多くの変数があります。
これらの変数には以下のものがあります。
Chisariらによって実施され、AJODOに掲載された2013年の研究が、歯科矯正での歯の動きを長期にわたって追跡し、年齢、性別、歯根長、骨レベルおよび骨密度等、歯の動きに影響を及ぼす要素を記録しました。回転、圧下および挺出等の難しい動きは特に予測できませんでした。
この研究で、クリアアライナーは8週かけて中切歯1本を1 mm動かすよう計画されました。治療終了時、歯の移動平均は予定の目標のわずか57%でした。
図の出典は「Variables affecting orthodontic tooth movement with clear aligners; Chisari et al, 2014」です。プロットされた歯の動きは、3つの試験群の平均です。
上記の変数(とその他)により、クリアアライナー治療はいくぶん予測できないものである可能性があります。臨床医の中には予測との不一致にすぐに気が付く方もいますが、治療の進路からのずれが時間が進むに従って蓄積される可能性もあります。
では、解決方法はどのようなものでしょうか?
症例提出時に潜在的なトラッキングの問題を予測し、それに応じて治療目標と手技を調整することができれば、治療期間全体を通して、必要な歯の動きがうまくトラッキングするのを助けることができます。
そうなると、論理上必然的に次の質問は、「どのように潜在的なトラッキングの問題を予測し管理するか?」です。
1. モニタリング:
他に確認することは、歯のサイズの不一致(切縁近心から切縁遠心)および歯の移動先のスペースのサイズです。スペースが十分に広くないと、歯がこのスペースに適切に動かず、別の強いコンタクトが生じる場合があります。
この解決方法は、歯の移動先に十分なスペースを作るため、症例提出時または症例の修正で、追加のIPRまたは拡大を処方することです。
2. 修正:
医師と患者は修正を避けたいものですが、希望する治療の結果を達成するため、特に難しい動きを達成するため、場合によって修正が必要です。
当初の治療目標に向かう進路に治療を戻すため、修正依頼時に、(上記の例でも必要であったように)追加のIPR、エンゲイジャーまたはオーバーコレクションを依頼します。
治療に影響を及ぼす変数によっては、修正なしで歯を治療の進路に戻すことが可能な場合もあります。以下に、実行できる解決方法を取り上げた記事をいくつか挙げます。
3. オーバーコレクション:
オーバーコレクションは以下の種類の動きに対して特に必要とされる可能性が高いです。
- 回転(特に単根管で歯根断面形態が円形の場合)
- 唇側-舌側の配列(特に切歯)
- 拡大
- 挺出(歯周靱帯が歯槽に歯を引き戻す傾向があるため)
症例が上記のいずれかの動きに関係する場合、症例提出時にオーバーコレクションを依頼することが、希望する治療目標の達成を助ける可能性があります。
たとえば、回転を必要とする症例で、医師は、治療の開始時近くに矯正のための回転を依頼し、回転をさらに助けるためオーバーコレクションを要望する注記を、症例提出フォームに加えることもできます。
医師と患者が望む治療結果を達成するため、クリアアライナー治療に影響を及ぼしうる不可避な変数を明らかにするのに、この情報がお役に立てば幸いです。
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