歯科矯正治療は歯がきれに並んだ時点で終了しません。ほとんどの患者にはリテーナーが必要になります。この動画では、Hawleyリテーナー、固定式リテーナーおよびクリアコレクトのクリアアリテーナーなどの利用可能なオプションについて取り上げています。
リテーナーのオプションと装着スケジュール
従来の歯科矯正治療は、矯正装置が終了した時点で終わりません。クリアアライナー治療でも同じです。歯をきれいに並べた後、後戻りを防ぐため、患者はリテーナーを装着する必要があります。
しかし、それらの可撤式リテーナーは誰にとっても最善のオプションでしょうか? 患者はリテーナーをどのような頻度で、どのくらいの時間、装着すべきでしょうか? 弊社は弊社のチーフテクノロジーオフィサーであるJames Mah氏に質問することにしました。彼が推奨したリテーナープロトコルを以下に示します。
リテーナーについて Mah博士
広義では、私が推奨する保定プロトコルとは、患者に最も適合する方法です。
第一に、治療が受け入れられ開始される前に、保定について患者と話し合いを持つことが重要です。アライナー治療を受けていた患者から、保定が必要だとは言われていないと何度聞いたかわかりません。このような患者は後戻りし、再治療を求めていました。
第二に、私は患者の不正咬合を検討し、顕著な後戻りの傾向を及ぼす要因がないか個別に確認します。そのような要因として、全体的な空隙歯列、重度の捻転、舌突出癖、前歯部開咬、過蓋咬合および再治療があります。
次に、固定式の保定か可撤式の保定かについて患者と率直に話し合い、どちらの種類の方が治療遵守の可能性が高いか患者から聞き取ります。仕事について質問し、公の場で話す機会が多い仕事かどうか尋ねます。また、最近、鍵や携帯電話等の落とし物をしたかどうか質問します。この話し合いの中で、固定式と可撤式の保定の長所と短所の説明もします。
さまざまな患者の反応を見てきました。使用経験があり、その耐久性を好むという理由から、Hawleyタイプのリテーナーを要望する患者もいます。アライナーに慣れていて、その快適性と審美性を好み、そのまま引き続き熱成形のリテーナーを希望する患者もいます。でもやはり、装置を「やめる」ことを希望し、忘れずに装置の取付け取外しをし続ける努力を放棄したいという患者もいます。この状況では、固定式保定が最善のオプションです。このような患者には、フロススレッダーを使用して固定式リテーナー周囲の清掃に少し長く時間をとる必要があることを伝えますが、これが患者にとって大きな妨げになることはめったにありません。前述の顕著な後戻りの要因を抱えた患者にも固定式リテーナーを推奨します。最も重度の状況では、固定式保定を行った上で、熱成形リテーナーまたはHawleyを付けることを検討します。
要するに、顕著な後戻りの要因がない、軽度または中等度の不正咬合の患者は、さまざまな保定オプションが利用可能であり、ある程度患者の好みによって決めることができます。顕著な後戻りの要因がある場合は、固定式固定を推奨し、場合によって重度の状況には併用を推奨します。私が最もよく使用する固定式保定は、犬歯から犬歯までブレイドワイヤーを各歯に接着するものです。
装着期間に関しては、対応が難しい質問となっています。さまざまな保定オプションと装着スケジュールが利用可能です。推奨される方法としてよくあるのが、約12ヵ月フルタイム装着し、その後数年間は夜間装着するというものです。しかし、患者はみな異なることから、臨床医は上記の顕著な後戻りの危険因子を認識することが必要です。臨床医は、治療と保定に自らの判断を適切に用いる必要があります。
ヒトの歯列弓長は10年ごとに約1 mm減少し、歯列弓が最も長いのは10代後期の数年であることを、ほとんどの患者は(実際には多くの歯科医師も)知りません。歯列弓長の1 mmの減少は20代や30代では顕著でないかもしれませんが、50歳に達するまでに歯列弓長が3~4 mm減少し、その時点で歯の不整列が現れるか悪化します。こうした理由から、60歳を超える方に理想的な歯の整列はほとんど見られません。解剖学者は、粗食の欠如と隣接面の歯牙摩耗の欠如が原因であるとの学説を立てていますが、これは一つの理論に過ぎません。驚くことではなく、歯列弓長の減少は、人体のあらゆる骨の骨量が全体的に減少した結果として起こるものです。骨量のピークは10代後期または20代前期にあります。残念ながら、そこからずっと下り坂です。
加齢の正常なプロセスが歯の良好な配列と反対方向に作用していることを理解し、私は長期保定を推奨します。リテーナーの装着が必要な期間を患者に質問されたら、私はこの現象を患者に説明し、ほとんどの方が理解されます。私は後戻りはしわのようなものだというたとえを用います。しわはできます。ただ、いつどこにできるか正確にはわかりません。さらに、人生には確実に存在するものが3つあります。死、税、そして歯科矯正の後戻りです。幸運にも、最後のものは、リテーナーを長期間装着することによってかわすことができます。可撤式は多くの場合ずっと装着する必要はありませんが、老後に入ったら、歯の配列を維持するために夜間のみかそれより短時間装着します。
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