IPR-よくある質問

IPR FAQに関する情報については、以下を参照してください

クリアコレクトは医療機器製造業者です。治療法の選択および症例の診断はすべて、処方する医師の責任です。上記の質問への回答は、クリアコレクトのクリニカルアドバイザーであるKen Fischer博士(口腔外科医)によるものです。


実施するIPRの量に関する質問


IPRとスペース作成に関する質問


カンタリングとIPRに関する質問


IPRの実施に関する一般的な懸念


実施するIPRの量に関する質問



なぜIPRの説明で必ず0.3 mmであることを求めるのですか?

希望するIPR量について医師から特別の指示がなければ、弊社は、隣接歯間1ステップあたりのIPRの規定変化量を0.3 mmとしていきます。状況によっては、0.1 mmまたは0.2 mmという、より小さなIPR変化量を推奨する場合もあります。

この3つのスペース変化量は、適切な器具を使用すれば、予想どおり作ることができます。

  • 0.1 mmのスペースを予想どおり作るには、手動のストリッピングを使います。
  • 0.2 mmのスペースを予想どおり作るには、片面ダイヤモンドディスクを使います。
  • 0.3 mmのスペースを予想どおり作るには、両面ダイヤモンドディスクを使います。

1つの隣接歯間で一度に0.3 mmを超えるIPRを実施すると、問題が起こりがちです。以下のような潜在的な累積エラーを考慮し、弊社は通常、変化量0.3 mmのIPRを推奨します。

  • IPRが正しく行われないと、ダイヤモンドディスクが曲がり、実際より大きく見える「V字型」のスペースが作られる可能性があります。 
  • 手動のストリッピングは、削合を必要とする歯に対してストリップにある程度力を加えることが必要です。  この力が歯を動かすことがあり、そのためにスペースが大きくなることがあります。このスペースによって、必要な歯の削合が行われているように見えますが、実際には行われていません。その代わり、歯が反対方向に移動してスペースができただけです。アライナーを歯にはめると、スペースは、必要なスペースより小さくなります。 
  • 同様の問題は、医師がIPRゲージをスペースに押し込む場合にも起こります。実際に行われたことが歯を反対方向に動かしたことだけであった場合でも、医師は適切な削合量が得られていると考える可能性があります。



ある程度捻転が矯正されるまで、または唇側にフレアアウトするまで、IPRを行う方がよいですか?

これは、患者と具体的な歯によって決まります。治療の進路の決定にあたっては、臨床医と患者の選択が重要な役割を演じます。治療計画は医師によるものであり、個々の患者に関連する具体的な依頼を行うのは医師の自由です。




IPR量を予定より増やすまたは減らすべき場合はどうしたらわかりますか?

繰り返しになりますが、それは具体的な状況によります。IPRと目の前にいる患者を考慮する際、製造された部品とは対照的な生物学的システムを相手にしていることを理解する必要があります。さまざまな結果をもたらす、解剖学的変化、生物学的変化および患者の変化が実際に現れます。最善の結果を得るため、医師は、継続的に患者に起こっていることを追跡し、治療を監督する必要があります。

また、歯科解剖学の知識が重要です。切歯は他の歯よりエナメル質が少なく、多量のIPRはできません。症例の提出前またはIPR実施前に削合可能なエナメル質の量を確認するため、口内X線撮影法を使用することができます。




IPR量をどのようにして測定しますか?

gauges.jpgIPR量を確認するにはいくつか方法があります。

  • IPRゲージ(クリアコレクトが販売しているもの等)が一般的に使用されます。
  • 歯科医師の中には、IPRストリップが0.1 mm厚とわかっていて、ゲージとしてIPRストリップの厚みを使用する方もいます。ストリップを折り重ねれば、0.2 mmの厚みになり、もう一度折ると0.3 mmになります。
  • 一部の歯科医師は、同じようにディスクの幅を使います。



時に、削合のアンギュレーション、オーバーラップ、捻転歯、アクセス、不十分なスペース、隣接面の一側をもう一側より多く削合するおそれなどの問題が生じます。これについてどうしたらいいですか?

隣接歯を損傷することなく適切にIPRを実施することが困難な状況があります。隣接歯間の重度のオーバーラップ、捻転、傾斜歯および小さい歯などの一部の状況では、適切な歯の表面にアクセスできるように、また正確に削合できるように、IPR実施前に、多少の唇側傾斜、歯間分離、または配列の改善も必要な場合があります。この理由から、臨床医の中には数回の来院にわたってIPRを実施することを選択する方もいます。

このような状況のために、多くの医師は最初のアライナーの診察にIPRの予定を入れません。歯科矯正の歯の動きが歯に軽度の可動性をもたらすため、IPRがさらに容易になります。

後方歯においてアクセスが問題である場合、症例提出時または治療構成の確認時に、後方ではIPRを行わないよう依頼することができます。

クリアコレクトの技工士により推奨されるIPRを実施する決定はすべて処方する医師に任されています。この決定は、経験とトレーニングで得られた医師の自信に裏付けられている必要があります。




隣接歯間のスペース全体でまったく同じ削合量にするにはどうしたらいいですか?

IPRを実施する際、ストリップまたはディスクが完全にコンタクトポイントを通過すること、およびストリップまたはディスクが処理中一様に当てられることを確実にする必要があります。よくある一つのエラーは、コンタクトポイント上で歯を過度に削合し、隣接歯間に「V字型」ができることです。

IPRの目標は、歯の元の形態を維持しつつ、歯のサイズを小さくすることです。換言すれば、切歯間の、より小さいコンタクトポイントは、そのように維持されるべきで、広く平坦にすべきではありません。迷う場合、ロータリーディスクではなくストリップで慎重にゆっくりと通過させる方が容易です。

強いコンタクトがあるとIPRを実施するのが難しくなります。そのため、一部の臨床医はIPR実施前に歯を動かし始め、それによる歯の可動性を利用します。もう一つの選択肢は、強い最初のコンタクトを乗り越えるためストリップでIPRを開始し、その後バーやディスクを使用するものです。




症例全体で実施されたIPRの合計量の記録を取りますか? 私の唯一の懸念は、時々同じ歯にIPRを実施しているように思えることです。また、エナメル質が失われることにより患者が過敏症になることを心配しています。

クリアコレクトは治療計画およ3D治療構成で、推奨されるIPRの量と位置を提示します。

弊社の技工士は医師から特に依頼がない限り、通常、犬歯の近心では0.3 mm超のIPR、犬歯の遠心および第1大臼歯の近心では0.6 mm超のIPRを推奨しません。それらはエナメル質の構造を維持するのに、またエナメル質を過度に削合することについて懸念するほとんどの医師を納得させるのに十分な、控えめな値であることがわかっています。

前歯は後方歯よりエナメル質が少ないことから、前歯ではこれらの規定値が小さくなっています。これらの値はまた、治療終了時に歯がどのように見えるかを考慮しています。前歯の0.3 mmのIPRは、両面ダイヤモンドディスクが使用される場合1歯で0.15 mmのみです。後方歯の0.6 mmのIPRは、両面ダイヤモンドディスクが使用される場合1歯で0.3 mmのみです。後方歯では、より多くのエナメル質を削合できることから、ダイヤモンドディスク使用後に戻り、カンタリングによって四角形の角に丸みを付けることができます。

弊社の推奨事項に加えて、各患者に実際に行うIPRの記録を取る必要があります。弊社はこれをモニタリングしやすくするIPRトラッキングチャートを用意しています。IPRの実施時毎回、それを記録し、患者ごとの歯の形態と相関させる必要があります(エナメル質の厚みに関しては口腔内X線像を確認します)。 


IPRとスペース作成に関する質問



ほとんどの場合、御社は0.3 mmの削合を求めますが、毎回0.3 mmのスペースを作り、結局スペースが残ってそれを閉鎖するためさらに多くのトレーを依頼することになります。これはなぜですか?

IPR後に結局スペースが残る理由としていくつか考えられます。

  1. 患者の治療不遵守
  2. 治療中、歯は予想外に移動する可能性があります。常にこのことを意識し、IPRが必要と思われる場合のみ、治療計画の量をガイドラインとして使用してIPRを行います。医師の技術的な専門知識と判断は、IPRのあらゆる推奨事項に優先します。
  3. 技工士は実際の患者ではなくデジタル画像によって仕事をしていることから、その指示は、実際に必要とされるIPR量を推定した不完全なものです。
  4. 過蓋咬合の患者においてスペースを閉鎖するのは難しいです。
  5. 印象の問題が不正確なデジタル画像をもたらす可能性があります。
  6. IPRの必要量を超えて誤って実施された可能性があります。

治療のどのステージでもIPRを実施する前、治療が予定どおり進行してきているかどうか確認するため、患者の口腔を確認する必要があります。

来院時毎回、隣接歯間のコンタクトをデンタルフロスで確認する必要があり、コンタクトが閉鎖されていなければ、残存スペースを閉鎖するため、デジタルパワーチェーンを依頼します。




確かに処方量までスペースを開け、コンタクトの閉鎖を確認するようメモがあった際にまだ開いている場合、どうなりますか? 患者の治療遵守が問題でなければ、次のステップに移るべきですか?それとも現在のアライナーをもっと長く付けるべきですか?

患者の協力とアライナーのフィットが問題でなければ、治療を続けます。歯周組織はまだ作り替えられており、残存している空隙は治療後期に閉鎖する可能性があります。頻繁にコンタクトを確認し、配列が達成された後残っている場合は、残存スペースを閉鎖するため、デジタルパワーチェーンを依頼します。 




歯間腔を狭くすることで、いくつかの歯の歯肉組織に対するスペースが減少することを心配しています。IPRを完全にする方法がまだ見つかりません。どれも医原性のリスクがあり、理想的な歯の解剖学的形態を保つことができません。

一般に、隣接面の組織は、新しい歯の位置を受け入れるため作り替えられ、歯肉が過剰になることはありません。しかし、上顎正中などの一部の状況では、これが歯肉切除を必要とする問題になる可能性があります。 

しかし、これらの問題はすべて医師の選択に従います。症例提出時または治療構成評価時に、IPRを減らすかまったく行わないかを明記することができます。




手動のシステムはすぐに摩耗し、必ず十分なスペースを作るとは限りません。特に歯が非常に叢生している場合、動きにくい歯や、もっとスペースが必要な歯があります。この場合、どうしたらいいですか?

これは臨床手技の結果である可能性があります。さまざまなIPR手技を確認することが有用な場合もあります。また、使用するストリップの選択が影響することもあります(コース/ミディアム/ファイン)。これらの変数を、IPR実施時に検討する必要があります。




一度のみコンタクトを通す場合、0.15 mm測定の両面ダイヤモンドディスクはどのように0.3 mmのスペースを作りますか? また、0.15 mm測定の片面ディスクはどのように0.2 mmのスペースを作りますか?

ディスクは高速回転し、またディスクは非常に薄いことから、回転中わずかな揺れが生じ、両面ディスクのこの揺れが0.3 mmのスペースをもたらします。 

片面ディスクの揺れは0.2 mmのスペースを作ります。というのは、研磨材のない面が揺れても、揺れによってエナメル質が削れないからです。 

バタースティックに温かいナイフで切り込む際、ナイフが刃の厚みよりわずかに大きくカットするのと同様です。  熱のエネルギーがディスクの揺れのようなものです。この揺れによってディスクの実際の厚みより大きくカットされます。 


カンタリングとIPRに関する質問



どうしたら、単に平坦なだけでなく自然なカンタリングにできますか?

カンタリングにあたって、さまざまな利用可能なIPR手技を理解し当該症例に最も適切なものを使用することが、希望する結果の達成に重要です。ダイヤモンドディスクの使用後手動のストリップを使用すると、角を丸めやすいです。

該当する歯の面を削合するために、IPRを実施する前に歯をわずかに唇側傾斜させ、配列を改善し、その後数回の来院にわたってIPRを実施することが必要な場合もあります。


IPRの実施に関する一般的な懸念



提案された設計の正確度が心配になります。

このことが、患者の治療の進行を管理するために定期的に患者を診察することが重要である理由です。さらにこれは、初めてIPRを実施する多くの医師が感じる心配です。多くの症例、治療、経験によって、この心配は消えていきます。




ダイヤモンドソーを使うのがとても怖いです。一瞬のうちに簡単に出血します。患者は、自身の歯列を切りつけるダイヤモンドブレードの音がとても嫌いです。通過を始めるだけで大変な努力が要ります。粒子の感覚と血の味によって、患者は逃げ出したくなります。

患者が神経質になっているか怖がっている状況では、利用可能なさまざまなIPR手技を理解し、当該症例に最も適切なものを使用することが重要です。利用できるIPR手技(手動ストリップ、ディスク)がいくつもあり、医師はそこから選択することができます。歯科医院が提供できる快適性には、個々のシステムに応じてさまざまなレベルがあります。IPRを行う選択も行わない選択もすべて医師に任されています。症例提出時または治療計画の確認時、いつでもIPRに関して個別の依頼を行うことができます。




IPRを行う際、歯に損傷や傷害を与えないことを患者に伝えて安心してもらうにはどうしたらいいですか?

患者にエナメル質の厚みと歯科解剖学について話してください。毎日の咀嚼による咬合面のエナメル質の減少は、加齢に伴い生じる通常の出来事であると、患者に知らせます。これが患者にとって重大な問題である場合、IPRを減らすまたは省くため、もう一つの選択肢として歯列弓の拡大があります。しかし、歯列弓の拡大にもそれに伴う危険やリスクがあります。




歯が治療の進路から外れないように、予定外のIPRを少し行うことが適切な場合についてもっと知りたいです。

来院時毎回、デンタルフロスを使って過度に強いコンタクトがないか確認してください。強いコンタクトが問題であることがわかった場合、治療の進路から外れないように、手動のストリッピングを少し行います。




IPRのゲージのフィットはきつい方がいいですか?それとも手応えがない方がいいですか?

フィットがきついと歯周靱帯を圧迫することになるため、また自然な歯の可動性と利用可能なスペースとの区別がつかない可能性があるため、いくぶん手応えが弱い方がいいです。

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